Prosaic Bliss / 2007-09-10
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2007-09-10 Mon
_ SF初心者に読んでもらいたいのは
まゆお姉ちゃんのとこ
から
SF初心者に捧げるSF小説n冊。
いやこれはすごい。いちおうSF者のおれだが、最近でた本はほとんどチェックできてないからおれにとってもありがたい。
充実したリストにとても及ばないがSF読者が増えそうとあっては黙っていられない。
それにSFは短編だぜ短編、ということで短編メインに個人的なお勧めを書きなぐってみるテスト。
おれは叙情的で甘ったるいお話が好きなので、そんな感じのチョイス。
だから初心者むけかというと、わりと初心者むけだと思うのですよ。読みやすさという点では。
ただし入手のしやすさはどうかというと、以下略。
いちおう入手しやすそうなのにしぼってますが。
絶版だけどSFを知らない人にぜひ読んでほしい本とか、けっこうあるんだよなぁ…
まず海外。というかブラッドベリとティプトリー。ブラッドベリの短編は何を読んでも後悔しないです。
『火星年代記』と『ウは宇宙船のウ』に収録されてる作品はひとつ残らず素晴しい。
- レイ・ブラッドベリ「霧笛」(『太陽の黄金の林檎』ハヤカワ文庫) わりと有名な話。創元からも出てるけどハヤカワの小笠原訳がよい。
- 同 「歌おう、感電するほどの喜びを!」(『歌おう、感電するほどの喜びを!』ハヤカワ文庫) メイドロボ萌え(なのか)
- 同 「万華鏡」(『刺青の男』ハヤカワ文庫) 最後の1行のために。
- ジェイムス・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやり方」(『たったひとつの冴えたやり方』ハヤカワ文庫) いわゆるお涙頂戴もの。でも何度も読みなおしてしまう。
- 同 「たおやかな狂える手に」(『星ぼしの荒野から』ハヤカワ文庫) 内容的に↑とかぶるけどこっちも好きだ。
- 同 「接続された女」(『愛はさだめ、さだめは死』ハヤカワ文庫) 今でいうサイバーパンク。凄絶なラブストーリー。
- ジャック・フィニィ「愛の手紙」(『ゲイルズバーグの春を愛す』ハヤカワ文庫) ロマンティックな、ちょっと変わったタイムトラベルもの。
- ケン・グリムウッド『リプレイ』(新潮文庫) ループものエロゲー的な。SFというかファンタジーだなこりゃ。
- ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』(ハヤカワ・ダニエルキイス文庫) 短編もあるけど長編で。真琴萌えの私に(←私かい)。
国産。が、おれはあまり国産SFを読まないので、いいものを知らない。短編もよく知らない。しょんぼり。
- 菅浩江「そばかすのフィギュア」(『雨の檻』ハヤカワ文庫) フィギュア萌えのアナタに。同書収録の「雨の檻」もお勧め。
- 小松左京『復活の日』(角川文庫) 破滅物の古典。小松先生は短編にいいのが多いけど、初心者むけではないかな…ギャグっぽいのはともかく。
- 星新一「午後の恐竜」(『午後の恐竜』)、「ボッコちゃん」「おーい、でてこーい」(『ボッコちゃん』、いずれも新潮文庫) ショートショートの神様は伊達じゃない!
- 山田正紀『神狩り』(ハヤカワ文庫) これを初心者に勧めるのは間違いか?でもSFってすごいなあと素直に思えるのはやっぱりすごい。
- 上種ミスズ『天の車』(講談社青い鳥文庫) 児童文学の、しかもマイナー作品(たぶん絶版)をあげていいなら、初心者むけSFとして最高なんだけど。
- 神林長平〈敵は海賊〉シリーズ(ハヤカワ文庫) スペオペ・コメディ?読みやすい。『海賊課の一日』が好きだ。あっ新刊がでてる…
- 秋山瑞人の全作品(いずれも電撃文庫) ええ、信者ですから。1冊だけというなら『イリヤの空、UFOの夏』。「十八時四十七分三十二秒」は真のSFです。
マキャフリーとかブラッドリーとかル=グィンとか大原まり子とか長野まゆみとかが入ってないのは仕様です。
好きなんだが、初心者むけを選べと言われると悩むのですよ。
それと有名どころのクラークとかアジモフとかハインラインとかはたぶん100人に聞いたら120人くらいは名前を挙げると思うので略。
まあ実際のところ、クラークは短編も長編も何を読んでも後悔しないです(ただし初期作品のみ)。おもしろい。
アジモフはやぱーり『夜来たる』と『二百周年の男』で決まり。
ハインラインは『夏への扉』で猫と幼女ああっ略したはずなのに語ってしまうっ。
こうやって、あらためて見てみるとジャンル的にSFというよりファンタジー寄りな気もする。
おれは青背で育ったという認識がないな。銀背(と白背)から金背へいった感じ。
追記 09/16: やまぐうさんの指摘により誤字の修正。
_ SFから13700000000光年
件のエントリをみてて興味深かったのは、n冊のなかにいわゆるSF者のオールタイム・ベストがほとんど入ってないということ。\\
ハイペリオン、ブリンの知性化シリーズ、一連のクラーク作品くらいか。
まあ「できるだけ新刊で入手しやすいもの」というくくりがあるから、当然ではあるか。
こうした新しい作品が10年、20年後にはオールタイム・ベストになっていくんだろうな。
と思うと同時に、オールタイムと呼ばれるためにはなんか足りんなあ、と思ったりもする。
むずかしいね。
とかエラソウなことは言えないのだよな。最近のSFはぜんぜん知らんし。
実はおれハイペリオンまだ読んでない(もう10年近く積んでいる…そろそろ発酵するか?)。
ベアもベンフォードもブリンもあまり読んでないし、最近のSF界はぜんぜんフォローできてないなあ。
なにしろ先日も友人と話していて、「イーガンおもしろいよ」って言われて「誰?」って返しちまう人ですから。気まずい。
もうちょっとアンテナを高くせねば。
あと読む速度をもうちょっと早く…